スマホの台頭、マスコミ一強体制の崩壊。
2017年時点の総務省が発表したデータに基づくと、日本におけるスマートフォン所持率は約75%である。(※1)実に4人に3人はスマホを持っている事になる。そして、スマホを手にした私達は日々様々な情報に触れる事が可能になった。
戦前戦中においては、世間で起こっている事を把握するには新聞を読むか、ラジオを聞く他になかった。故に新聞社や放送局は絶大な力を持っていたに違いない。1950年代、テレビ放送が開始されると人々はその虜となり、同時に新聞社や放送局もその力を増すことになる。
1995年、windows95が発売されそこから一気にインターネットと言うものが普及した。インターネットのコンテンツが充実し、様々な情報や意見が容易に手に入る時代になった。それと同時にマスコミの力は徐々に弱くなってきている。スマホ上のコンテンツは多岐にわたり、様々な種類の娯楽が提供出来る様になってきたため、テレビの娯楽に割かれる時間が少なくなってきて来ているのである。特に若年層でその特徴がわかりやすく出ている。(もちろん、時代の流れで価値観が多様化しているという大きなトレンドも影響しているが。)
私見では、マスコミがこのような競争にさらされる事に賛成である。むしろ今までの特権的な環境の方が異常だったのだと思う。マスコミ各社にはぜひ魅力的なコンテンツ開発に勤しんで頂きたいと思う。
前置きが長くなったが、そんなこんなでマスコミとの付き合い方について自分なりの意見をまとめてみた。何かの縁で本記事をご覧いただいている方の参考になれば幸いだ。
その1、公平な立場でない事を理解する。
基本的にマスコミには社会的な責任があるため、ウソの情報は報道しない。ただし、その事実をどう切り取って、どのような感情を視聴者に植え付けようとしているのかは各社それぞれの編集次第である点は肝に銘じておかなくてはいけない。世界中にあふれる事実の内どれを報道するかは各社自由であるし、その事実をどう解釈するかも自由である。
例えば、99.9%の人が賛成している事柄があるとして、残り0.01%の反対している人の意見に多くの時間を割いて報道する事も可能なのである。そして、その放送を見た人に反対している人が多いのだとさりげなく印象付ける事も可能なのである。
マスコミのニュースは基本的には事実だが、その伝え方には各社の狙いがある事を意識する。反対意見等、インターネットを使って幅広く情報を入手し、検討する事か重要である。
その2、事実と意見を混同しない。
ワイドショー等で専門家やタレントが様々な意見を展開しているが、あれはすべてアドリブで行われているのではなく大筋が台本で決まっているという点に注意しなくてはいけない。そもそも、専門家でもないタレントの意見に何か価値はあるのだろうか?もちろん「そんな意見もあったのか!」等の新たな価値観の発見や、共感を得ることはできると思うが、それは別にタレントでなくても、親でも友人でも同じ事なのではないだろうか。
発言している人の好感度と発言内容の正当性は全く関係無いという点を意識する必要がある。
その3、街頭インタビューは無価値。
街頭インタビューの内容は全くあてにならない事に注意しなくてはならない。全くの素人の感想が、全国の人の総意だという錯覚に陥りやすい点に注意が必要だ。
例えば、97人が反対・3人が賛成のインタビューが撮れたとして、放送時に賛成3人・反対1人として放送する事も出来る。また、そのマスコミが賛成意見を推したいのならば先に反対意見のインタビューを流して、最後に賛成意見のインタビューを流して賛成の印象でインタビューコーナーを終える事も出来る。
街頭インタビューには何ら価値は無いことを意識する必要がある。
その4、グラフが出てきた時は身構える。
アンケート結果等で各種グラフを表示する事があるが、事実を伝えつつ、印象を操作する事が可能である。グラフが出てきた時には以下の点に注意しなくてはならない。
・縦軸がゼロから始まっていないグラフ
両方とも同じデータをグラフ化したものだが、縦軸の始点を0から始めないことであたかも右肩上がりであるかのような印象操作が可能である。
・3D表示になっているグラフ
両方とも3等分の比率の円グラフなのだが、3D表示にすることで手前にある赤いBの比率が高いように印象操作が可能である。この3D技法は棒グラフ等でも行うことが出来る。
最後に、マスコミとの適度な距離感とは。
テレビを見るなとまでは言わないが、何も考えずに思うがままテレビにかじりつくのはいかがなものかと思う。報道系の番組の場合は特にである。
テレビの中の世界が、実際の世界ではない。
世界では様々な出来事が起きており、様々な考えがあり、テレビで映るのはその極々一部であるという点をしっかり意識しなくてはいけない。逆を言うと、マスコミがどのように視聴者ひいては国民を行動させたいかまで意識できるとまた違う世界が見えてくるのではないだろうか。
<参考文献>
※1
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252110.html